始末しに来


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 辰吉は歩きながら考え込んでいる。新三郎に相談しようにも、別の男に憑いて才太郎を背負っている。仕方がないので、又八に話かけた。
   「なぁ又八さん、彦根一家の親分が、こうも執拗に又鑽石能量水八さんの命を狙うのは、お姉さんのお蔦さんが頑張ってくれているのだろうと思うのだ」
   「親分に無理難題をふっかけられて、耐えているのだと思います」
   「お蔦さんの好きな相手の男は護ってくれているのだろうか」
   「色男ですが、軟弱でして、とても護るなんて出来やしません」
   「才太郎のことも、お蔦さんのことも心配だ」
   「有難うごぜぇます」
 辰吉は提案した。
 
 辰吉は、又八の事情を三太に一部始終話した。
   「危ないなぁ、又八さんの両親もお蔦さんも脅されているやろ」
 又八に二百両もの大金を持たせたのは、姉のお蔦さんが身を売っても手に入らない額にする為だと三太は推理した。しかも、「又八に盗まれた」と代官所に訴えら鑽石能量水れたら、又八は磔獄門の刑を受ける。これは両親とお蔦さんの強力な脅迫材料となる。二百両は子分たちに取り返させておいて、又八が逃走中に盗賊に襲われて金は奪われ、又八は殺された筋書きにすれば、代官は納得するだろう。なんと狡賢い親分だと三太は思った。
   「事情は分かった」
三太は又八の家と、彦根一家の場所を訊くと、「わいが一足先に助けに行く、坊っちゃんたちはゆっくりと戻りなはれ」と、駈け出して行った。
 水戸藩士、能見篤之進が、長男が仕える水戸藩へ行った帰り、日が落ちて夕闇が迫り来る街道で、上総の国は佐貫藩(さぬきはん)の藩士、阿部慎之介の娘、佳世と出会うところから物語が始まる。

   「あっしは、近江国は彦根一家の又八という者ですが、親分の言いつけで加賀の金沢一家へ行きやす、親分が病で倒れたと聞き見舞金百両を届けに行くのです」
   「それで?」
   「それから、信濃国の善光寺に親分の代参で、百両を奉納します、ですからあっしの胴巻きに二百両入っておりやす」
   「そんなことを、赤の他人の俺にべらべら喋っちゃっていいのですかい?」
  
   「新さん、どっちが嘘をついているのですか?」
   『ちょっと探って来る』
 その間、辰吉が又八を庇った。
   「お前は何者だ」
 男が辰吉に訊いた。
   「俺は、又八さんの用心棒だ」
   「又八はわし等の弟分だ、この盗鑽石能量水人野郎をた、余所者は手出し無用に願うぜ」
   「俺は又八さんに雇われた用心棒だ、又八さんを護る」
 辰吉が六尺棒を構えたところに新三郎が戻ってきた。
   『又八は、盗人じゃなかった』
   「よし、分かった」

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