
『辰吉は、あっしを必要としなくなったのか、次は誰を護ってやろうかな』
「あっ、ごめん、ごめん」
新三郎は、亥之吉に憑いて戻ってきた。新三郎にしてみれば『辰吉は、つー と言えば、かぁ の仲だと思っていたのに、探りに行ってい辦公室傢俬る間に帰ってしまうなんて』と些か憤慨している。
「何? その、つー と言えば、かぁ って」
「つー は口を閉じ気味に言う、かぁは、口を大きく開けて言う、阿吽の呼吸と同じような意味で、呼吸が会うってことだよ』
「余計、わからん」
『また、寝物語で聞かせてやろう』
「ふーん、きっとスケベなことなのだろうね、うふん は口を閉じていうし、あはん は、口を大きく開けていう」
『そうそう、そのようなこと… 違うわい』
「お父っつぁんも、相模屋長兵衛さんの件で来たのかい?」
「わいは、別件や、ある酒屋の主人が米相場を薦められて手を出し、全財産を潰して首を括ったのや」
「その薦めたのが、もしかしたら相模屋さんから千両を詐取した詐欺師と同じだと推理したのかい」
「そやそや、人相風体も訊いてきた」
「横綱酒造の主人、勝蔵さんと違っていたのかい」
「うん」
「ほんなら、元店主の腹違いの弟、作造さんに会ってみませんか?」
「よっしゃ、会ってみよう」
① 鶴が「ツー」と鳴くと、烏が「カァ」と鳴いて応える様子から来たものだそうである。
それは、沼で鳴いた鶴の声に、偶然山で烏が反応して鳴いたものであり、鶴と烏は仲が良い訳でも、鳴き声で情報をやりとりしている訳でもない。
② 「それは○○つーの」物知りの長屋のご隠居が教えると、八っあんが「なんだそうかぁ」と応えるみたいな説があるそうだ。これでは「ツーカーの仲」とは言えない。答えを噛んで砕いて教えて、ようやく八っつあんが理解したというのでは、「ツーカー」の寧ろ逆である。
③ 「ツーカー」は、通過からきたものであるというのも可怪しい。「ツーカーの仲」のなのに、相手の言わんとしていることを、しっかで通過させてしまっては「ツーカーの仲」とは言えない。
これらを「説」と捉えているというのが、Web検索で得られたものであるが、いずれも「説」を成していない。
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