役割を求め

見ていたのに、その間にへなちょこ刑事にかっさらわれたんだぞ。あまりにも不憫だろう。真面目な悠人を差し置いて、高校生と淫行するよう觀塘通渠なヤツが幸せになるのは許せないね」
 正論のように聞こえるが、少なくとも澪と淫行した大地に言う資格はないと思う。彼の場合は合意もなかったのだからなお悪い。だが、そのことを論じればさきほどの二の舞になってしまう。じとりと冷たく睨みながら、挑発の言葉に踊らされないよう用心して言い返す。
「お父さまの意見は聞いていません」
「でも、同意の署名がほしいんでしょ?」
「署名捺印だけしてくれればいいんです」
 これまで見せたことのない反抗元朗通渠的な態度に、大地は少し驚いているようだった。しかし、頬杖を外してゆったり両手を組み合わせると、わずかに顎を引いてニッと口の端を上げる。
「随分と勝手なことを言うね」
「お父さまは父親じゃないですから」
「でも戸籍上は実の父親だからね」
「誰のせいだと思ってるんですか」
「まあ、主に僕かな」
 微塵も責任を感じていないかのように、軽く笑いながら答える。
 それでも澪にはひたすら訴え続けるしかなかった。
「わかってるんだったら責任を果たしてください。戸籍上の父親として署名捺印してくれてもいいでしょう? もうこれ以上は父親としてのませんから、最後に、最後だけでも私の幸せのために手を貸してください」
 その声に切実な思いがにじむ。
 大地は身じろぎもせず真正面から澪の沙田通渠双眸を見つめてきた。さきほどまでとは別人のような真剣な顔をしている。息が詰まりそうな沈黙の中、澪は固唾

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