存続できない 2016年03月08日 「ちょっと、待っておくれやす」 と、奥の座敷に入り、紙切れを持って出てきた。 「これは、その時に書いてくれはった加賀屋さんがある町名と略図だす」 そのうち、江戸へ行くことがありましたら、お店に立ち寄らせてもらいますと、社交辞令のつもりで言ったら、律儀にこの紙片を渡してくれたそうである。 「同じ字だすなあ、加賀屋さんは良い人だした」 浪花屋の旦那は、思い出…続きを読む
始末しに来 2016年03月03日 辰吉は歩きながら考え込んでいる。新三郎に相談しようにも、別の男に憑いて才太郎を背負っている。仕方がないので、又八に話かけた。 「なぁ又八さん、彦根一家の親分が、こうも執拗に又鑽石能量水八さんの命を狙うのは、お姉さんのお蔦さんが頑張ってくれているのだろうと思うのだ」 「親分に無理難題をふっかけられて、耐えているのだと思います」 「お蔦さんの好きな相手の男は護ってく…続きを読む