存続できない

   「ちょっと、待っておくれやす」  と、奥の座敷に入り、紙切れを持って出てきた。    「これは、その時に書いてくれはった加賀屋さんがある町名と略図だす」  そのうち、江戸へ行くことがありましたら、お店に立ち寄らせてもらいますと、社交辞令のつもりで言ったら、律儀にこの紙片を渡してくれたそうである。    「同じ字だすなあ、加賀屋さんは良い人だした」  浪花屋の旦那は、思い出…

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始末しに来

 辰吉は歩きながら考え込んでいる。新三郎に相談しようにも、別の男に憑いて才太郎を背負っている。仕方がないので、又八に話かけた。    「なぁ又八さん、彦根一家の親分が、こうも執拗に又鑽石能量水八さんの命を狙うのは、お姉さんのお蔦さんが頑張ってくれているのだろうと思うのだ」    「親分に無理難題をふっかけられて、耐えているのだと思います」    「お蔦さんの好きな相手の男は護ってく…

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